高市政権1年、消費税減税を1年強で実現するスピードは異例で評価すべき【岸博幸】
動画2026.10.24
高市政権1年、政策のスピードをどう評価するか
1年強で消費税減税。これは、実はすごいことです。
高市政権が発足して1年が経ちました。この1年でどれだけ政策の成果を出したのか。結論から言えば、それなりに高く評価すべきだと考えています。政権の中核にいた経験から見て、大きな政策課題を実現することがどれほど大変かを踏まえて、その理由を説明します。
本動画のポイント
- この1年で、ガソリン暫定税率の廃止、皇室典範の改正、国家情報局の創設、副首都関連法の成立が実現しました。
- 最大の評価点は、史上初めての消費税減税を今年2月の衆院選で公約し、来年4月の実現まで道筋をつけたことです。
- 積極財政による17分野への投資も、予算で措置される見通しです。
- 小泉政権では不良債権処理に3年、郵政民営化に5年かかりました。大きな課題は数年で1つか2つが限界です。
- 一方で、前農水大臣の辞任に2週間かかった官邸の危機管理には、まだ改善の余地があります。
- それでも支持率が落ちていないのは、前に進んでいるという空気感が伝わっているからではないでしょうか。
01この1年で実現した政策
高市政権ができて1年が経ちました。1周年ということで、この1年の評価、どれだけ政策で成果を出したかを考えてみたいと思います。結論として、私はそれなりにちゃんと高く評価すべきだと考えています。
冷静に振り返ると、このわずか1年でいくつもの成果が出ています。ガソリンの暫定税率の廃止はすぐに実行しました。賛否両論はありますが、皇室典範の改正という大きな課題にも手をつけました。国家情報局の創設も実現し、副首都を決めるために必要な法案も成立させています。
02最大の評価点は、史上初の消費税減税
なかでも特に評価すべきだと思うのは、消費税の減税です。これはかなり大きな政策課題ですが、今年2月の衆院選で公約に掲げ、すでに今国会に法案が出ています。間違いなく年内に成立し、来年4月から実際に実現する見通しです。
つまり、公約から1年ちょっとで、経済政策としてきわめて大きな課題を実現してしまうわけです。加えて、積極財政による17分野への投資も、賛否が大きく分かれ批判も多いものの、予算で措置される予定になっています。
03小泉政権の経験 1つの課題に3年、5年
これがいかにすごいことか。私は小泉政権で政権の中核にいましたが、その経験から言えば、政権が大きな政策課題に取り組もうとしても、数年かけてせいぜい2つできるかできないかです。
小泉政権が最初に取り組んだ大きな課題は不良債権処理でしたが、政権発足からりそな銀行への公的資金注入まで、軽く2年以上かかりました。処理が本当に終わったと言えるまでには3年ほどです。郵政民営化に至ってはさらに時間がかかり、5年ほどかかってようやく実現しました。
大きな政策課題を実現するというのは、それくらい大変なことなのです。
賛否が大きく分かれるなかで、1年強で実現してしまうのは、凄まじいスピードです。
04課題は、官邸の危機管理
もちろん、改善すべき点もあります。たとえば前農水大臣の簗さんです。あのような非常識な発言が一つ出た時点で、本来はアウトでした。しかし実際には、官邸は辞任までに2週間もかけてしまいました。
安倍政権の時は常に重要課題に取り組んでいたこともあり、2人の大臣が失言を理由に辞任した際、一人は即日、もう一人は翌日に辞任しています。それくらいのスピード感がありました。その意味で、官邸の危機対応能力、危機管理の能力には、まだまだ改善の余地があります。
05他政権と比べて、落ちない支持率
それを割り引いても、これだけのスピード感で政策を進めている政権は、過去を見てもなかなか見当たりません。長期政権は別として、岸田政権や石破政権を思い出してみてください。これだけ大きな課題を、このスピードで進められたでしょうか。
大臣の問題があったにもかかわらず支持率が落ちていないのは、国民が「細かい政策はよく分からないけれど、どんどん前に進めているよね」という空気感を受け取っているからではないかと思います。官邸も今回の件で、危機対応をしっかりやろうという意識になってきていると感じます。この調子で支持率が落ちなければ、盤石の長期政権になる可能性も出てきたのではないでしょうか。
061年強での実現は、実はすごいこと
1年が経って改めて振り返ると、何度も言うようですが、消費税減税の実現はとてつもなく大変なことです。金融市場がこれだけうるさいなかで積極財政をやるのも大変です。
普通の政権なら2年、3年かかっていたかもしれないことを、1年強で実現してしまう。これは実はすごいことなのだという認識を持ったほうがよいのではないかと思っています。
※内容は動画収録時点(2026年10月)の情報と説明に基づく見解です。最新の情報は政府・各党などが公表する内容をご確認ください。
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岸 博幸慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授/経済評論家・コメンテーター